□トラネキサム酸
トラネキサム酸は、肝斑(かんぱん)の改善薬としての効果が認められている成分です。
もともとは抗炎症薬や止血剤として医療の現場で使われてきた薬です。
じんましんの治療として患者さんへ処方したときに、肝斑の改善にも効果があることが発見され、
2007年に一般用医薬品として新たな効能が認められました。
医療機関でも、肝斑であると診断された患者さんにトラネキサム酸を処方してきた実績もあります。
肝斑は女性ホルモンのバランスの乱れが一つの要因といわれていますが、
トラネキサム酸は女性ホルモンに直接影響するのではなく、
メラニンをつくり出すメラノサイトにはたらきかけ、色素沈着抑制効果を発揮して肝斑を改善するのです。
トラネキサム酸は、タンパク質を構成する成分である必須アミノ酸リシンを元に人工合成されたアミノ酸の一種であり、
炎症を引き起こす生体内の酵素「プラスミン」を抑制する「抗プラスミン作用」を持っています。
喉の腫れや口内炎を治療する薬から、毎日使う歯磨き粉など、幅広く使われています。
なお、もし肝斑でない人が服用した場合でも、特に身体に悪い影響が出る成分ではありません。
経口避妊薬の服用、妊娠、閉経などとの関わりから、肝斑の発症には女性ホルモンが大きく影響していると考えられています。
ただし、トラネキサム酸の作用メカニズムは、この女性ホルモンの乱れを修正するものではありません。
トラネキサム酸は、メラニン発生の要因のひとつと考えられるメラノサイト活性化因子「プラスミン」をブロックすることで、
肝斑の原因となるメラニンの発生を抑制し、この結果肝斑を薄くする作用があると考えられております。
これまでの研究から、女性ホルモンの分泌などホルモンへの直接的な影響はありません。
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